「親亡き後も、障害のある人が安心して過ごせる場」は、私たち支援者にとっても、家族にとっても切実な願いであり、その実現のためにどうしたら良いか、いつも考えている。
近年は、グループホームがかなり多くできており、異業種からの障害福祉サービスへの参入が増えて、まるで福祉ビジネスとして取り扱われているような実態に疑問を感じている。 利用できるサービスが増えることは、選択肢が増え良いことではあるが、そこに本人主体の支援が伴わない現実があることも知り、場があるだけでなく、支援の質を問うことが大切であるという思いを強くしている。 生活の場は、日々同じことの繰り返しのようで一見単純に感じられるが、健康の元である食事の提供、気候の変化に応じた衣類や寝具の用意、入浴など保清に伴う支援、服薬の管理、本人の希望を叶えるための支援など、きめ細かい観察とコミュニケーションが必要で、支援の質はそのまま利用者本人の快適さ、安心感に直結する最も重要な重視ポイントであると思う。 当事業所に通所している利用者さんが安心して暮らせる場を、どう確保するか… 支援の質を求めるには、今までの経験からやはり自分たちで運営するのが一番確実かなと思うが、建物を作ったり、確保するには莫大な資金が必要で、かなりハードルが高い。 そこで「当事業所に通える場所で、グループホームを建て、運営は当法人に任せてくれる」 そんな事業のコラボができないかな…と模索している。 一度入居すれば、長年にわたって家賃は確実に支払われるので、アパート経営よりは安定した経営が見込め、建てた会社等にとってもメリットはあるのではないかと思うのだが… 希望が叶うようにどうしたら良いか、制度の改正も見ながら思考錯誤の日々である。
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今年も10月27日、28日 1泊2日の社員旅行に行って来ました。
旅行行程1日目。バスを貸し切り久里浜から出発。 東武浅草駅からは人気のスペーシアXに乗り換え東部ワールドスクウェアへ。 確実に特急の出発時間に間に合うように早めの集合時間でしたが、楽しみにして迎えた当日は皆笑顔で集合し、バスの中ではゆったり過ごしました。 順調に早めに浅草に到着し、予定外の浅草寺お参り! 海外からの旅行客も多く、浅草寺は混んでいましたが、パン職人たちは皆、戸惑うこともなくお参りをし、楽しみにしていたスペーシアXに乗車しました。昨年誕生したばかりのスペーシアXは、座席が広くてゆったり座ることができて、車内がとてもきれい。車窓から景色を見ながら東部ワールドスクウェアへ向かいました。 東武ワールドスクウェアは、世界の主要都市や建物がミニチュアで精工に作られており、一周するだけでまるで世界を旅したような気分を味わえました。それぞれのブースには自由に乗って写真が撮れるバイクが展示されており、パン職人たちは普段乗ることのない大きなバイクにまたがり、記念写真を撮るのに夢中。それぞれに楽しめたようでした。 その後早めに宿泊先にチェックインし、温泉に入ったり、ゲームをしたり、近所の商店街を散歩したりと、ゆったりした時間を過ごしました。 楽しみな夕食は、日光の名産湯葉も含まれた懐石料理。その土地の名産を食べることも旅行の大きな楽しみの一つですが、パン職人にとっては普段食べなれない懐石料理はちょっと苦手。 それでも皆で食べる楽しい雰囲気の中、食べられるものでご飯をお代わりしたり、挑戦して食べてみたら意外と食べられたりと旅行中の嬉しい発見もありました。 社員旅行2日目。 今年は気温が高くて、例年より紅葉が遅めでしたが、ようやく紅葉が見ごろになった時期という話を聞き、わくわくしながら宿を出発しました。 バスでいろは坂を通り中禅寺湖に行き、遊覧船に乗って紅葉真っただ中の中禅寺湖を一周しました。 当日は小雨が降り、気温が低めでしたが、きれいな紅葉を見ようと船の屋上に出て写真を撮った人もいました。その後、バスでいろは坂を下り、世界文化遺産の日光東照宮へ。 平日の雨の日にも関わらず、参拝者が多くてとても混んでいました。事前にガイドさんを依頼し、 テンポよく、鳥居の歴史から、五重塔、三猿、眠り猫、泣龍と一通り回ることができました。 人が多くて、全員で写真は撮れなかったですが、多くの豪華絢爛な社殿や神聖な雰囲気はパン職人たちにも思い出として印象に残ったのではないかと思います。 個人では一通り回るのにかなり時間を要したと思いますが、皆で行ったからこその観光でした。 その後遅めの昼食を摂り、それぞれお土産を買って帰途につきました。 日頃、一生懸命仕事に励んでいるパン職人が皆とても楽しみにしている社員旅行。普段の作業とは異なるパン職人の一面を発見したり、ともに楽しい時間を過ごすことができ職員にとっても、とっても楽しい時間になりました。 もう「次はどこに行くの?」という声があちこちから聞こえてきています。 近年「物価高を上回る賃金の上昇」が提唱され、毎年最低賃金が見直されている。
生活に欠かせない食料品や、消耗品の値段が上がっている現状では、当然そうあるべきであるとは思うのだが、一方で扶養範囲内で働くことを希望している方が多い職場では、時給が上がればその分だけ、働ける時間数が少なくなってしまうという壁にぶつかる。 また、一般的には経験年数が多ければその分時給が高くて当然なのだろうと思うが、ここでも前述同様の壁がはだかる。 当事業所の利用者さんは皆、知的障害を有しており、重度の自閉症の方から軽度の発達障害の方までかなり幅があり、個性的な方が多い。彼らの個性を理解し、それに応じた支援ができているか、日々振り返りはしているが、支援のスキルアップは容易ではない。 経験年数があり支援スキルが高い職員ほど時給が高くなれば、働ける時間数が減り、積み重ねた支援スキルを発揮できる日数が減ってしまう。それを補うために、新たに職員を採用しても事業所全体としてのスキルは下がってしまう。 それが利用者さんにとって、どうなのだろうと疑問を感じる。人に慣れるまでかなり時間とエネルギーを必要とする彼らにとっては、それが良いことなのだろうか。 そんな葛藤を抱えているのは私だけではないのではないかと思う今日この頃である。 早いもので、野比店がオープンして6年目を迎えました。
この間にコロナ禍もあり、在宅での作業では不可能で、 どうしても密な環境になってしまうパン・焼き菓子作りの作業環境を整えるため、 またパン職人たちのさらなる工賃アップを図るため、 従たる事業所として久里浜店をオープンし3年目に入りました。 オープンにあたっては、場所の確保や、職員の増員などクリアしなければならない難題もありましたが、 お陰様で良い出会いに恵まれ、無事に今日を迎えられていることに日々感謝しています。 職場実習を通して毎年特別支援学校の卒業生を新メンバーに迎えることができ、 パン職人は今年で19名、職員は13名になりました。 しばらくの間、バタバタに紛れてすっかりさぼってしまっていましたが、 まだ紹介できていないパン職人と、職員の紹介をしていきたいと思っています。 個性豊かな楽しい人たちの集合体。目を通していただけたら嬉しいです。 重度の知的障がいを伴う自閉症である私の子どもは、自分の限られた要求、気になる予定の確認、
日常生活上のあいさつ程度を単語レベルで発する以外は、ほとんど会話ができない。 自分が経験したことがないことは、言葉で聞かれても理解も想像も難しいので、 「好き?嫌い?」「したい?したくない?」「どっちがいい?」などど聞かれても、 自分の気持ちや意思を伴って答えることはとても難しい。 自閉症特有のパターン行動や、オウム返し、こだわりもあるので例えば病院で医師に 「調子はどうですか?」と聞かれると「どうですか?」とそのまま元気に返事してしまう。 日常生活でもおやつに「りんご食べる?せんべい食べる?」と聞くと、本当はりんごを食べたいのに 後半に聞いた「せんべい」の言葉が印象に強く残り、「せんべい」と答えてしまうこともある。 また、いつも行くスーパーで買い物すると、毎回買ってもう飽きてきているおやつでも、 声をかけずにいると同じ物を毎回選んでしまうこともある。この場所ではこれを買うというパターンにはまり 自分では抜け出なくなってしまうのである。本人が選んだ物でも、意思とは異なることが多々ある。 成長過程で、小学校、中学校、高校、そして卒業後の進路、就職、生活の場と本人の人生を左右する大きな選択を迫られることが幾度となくあるが、自分で「こうしたい。ここに行きたい」と伝えることが難しい当事者の保護者は、 今までの本人の様子や育った過程を振り返り、きっとこの選択があっているだろうという感で 選択をしているというのが現状ではないかと思う。 「それは本人の意思・選択ですか?」と聞かれたら、「本人の意思は私にはわかりませんが、 多分本人に一番合っているのではないかと思い私が選択しました」と答えるしかありません。 その選択がどうだったか、本当にあっているのかを常に気にしながら過ごしている。 支援者として、大きな選択の場面に立ちあった時には「それは本人の意思・選択ですか?」と問うのではなく 「本人にとって意思に沿う選択になるように、一緒に考えていきましょう」そう伝えられる支援者でいたいと思う。
嬉しいことに今年度の職場実習を通して、共に過ごした養護学校の学生さんが来年度、 新たに仲間として加わることになりました。 実習中は初めてのパン生地の扱いに戸惑ったり、緊張で成形の手が震えたりしていた学生さんたちが、 日々の作業を通してどんな成長を見せてくれるのか、今からとっても楽しみです。 幼少から学生時代は、6年や3年ごとに環境が変わり、その都度新たなスタートとなりますが、 卒業後の進路先は、18歳以降の長い人生を過ごす場として、 本人も家族も迷ったり悩んだりしながら大きな選択を迫られることになります。 ですから反省会では実習を通して見えた本人の強みだけではなく、 課題や難しさも含めて率直にお伝えするように心がけています。 また当事業所の理念も知っていただきたい大事なポイントなので、合わせて説明しています。 その上で進路先として選択していただいた重さと嬉しさを感じ、職員として身が引き締まる思いです。 パン屋をオープンしてまだ2年という事もあり、 まだまだパン職人の仕事に見合った工賃を支払うことができていません。 更に工賃のアップを図るため、またパン職人の個性を理解し更にきめ細かい支援ができるよう、 来年度の常勤職員採用を決定し、募集を開始しました。 採用人数1名。 現在常勤3名、パート5名の職場ですが現在まで離職者はいません。 興味のある方は詳細をお伝えしますので、ぜひご連絡下さい。 ピケマルシェ365日が開所して丸2年。先日初めて賞与を支給することができました。
パン職人の皆さんは、週1回の早番も含め、とてもまじめに一生懸命仕事に取り組んでくれます。 パンや焼き菓子の製造、販売が主な仕事ではありますが、それ以外にも多量の洗い物や、 作業場の掃除、材料の買い出しなど根気や体力が必要な仕事が毎日たくさんあります。 どの仕事でも皆気持ちよく引き受けてくれる、その姿勢には私たちが見習わねばと思うことが少なくありません。 決して十分な工賃を支払っているとは言えない現状の中で、 少しでも補える賞与の支給は職員全員の念願でもありました。 毎週のように注文してくださるお客様がいたり、 コロナ禍の中でも販売を継続してくれる販売先があったり、 ロスパンをサイトを利用して購入してくださるたくさんのお客様がいたり・・・ 皆様のお陰で念願の賞与の支給ができ感謝の気持ちでいっぱいです。 12月25日、クリスマスの日にパン職人ひとりひとりに手渡しました。 それまで内緒にしていたので当日は皆「えっ」という表情でしたが、 手にするととっても嬉しそうな表情で、大事にリュックにしまっていました。 帰宅後喜んで家族に報告したり、いつか行きたい旅行のために貯金したり、 自分でATMで入金したり、好きなものを食べたりと、それぞれの使い方ができたようです。 またこんな機会を提供したいなぁと強く思った1日でした。 多くの方に支えられていることを実感しながら、 これからも今まで以上にできる努力を職員一丸となってしていきます。 これからも素敵なパン職人たちと共にピケマルシェ365日をどうぞよろしくお願い致します。 |